21.54

食事は、時おり正気を保つのがむずかしい。


皮を剥がれ、原型を失い、生き物のにおいを感じさせない、死体の盛り合わせ。食事。恐ろしいのに、なんてかぐわしい。

 


焼いて、蒸して、茹でて、ぐちゃぐちゃにして、死を食べてることなんて忘れて、「ブタさんもおいしく食べてくれて喜んでるよ」先生の言葉を思い出す。(正気ってなんだっけ)名前などなく、あかしすらない、無数の墓標の上にひとは立つ。


おいしすぎる死にざま、胃がひっくりかえりそう。

 

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