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雑踏。

灰色のコンクリート

はげかけた横断歩道

赤、青、黄を繰り返す信号機のなか

 

めぐる季節を感じそびれている人たちの息づかいのなかで

うずくまり目を閉じて

増えては減りゆく足音を聞いていたい

 


(コンクリートの下で呼吸もできずに眠る土をおもう)

 


ビルとビルの隙間から

漏れ出るように朝日が差して

昼がとおりすぎ

夜が

肌にとけ込む温度を、感じていたい

何度でも。

 

 

 

そうしていつか

コンクリート

横断歩道も

信号機も

雑踏も

冷えて

サラサラくずれてゆく

 


いつかすべて

真珠のようにかがやく

美しい砂になる

 

 

 

(砂とくだけた人々のなごりが

 夢のように

 延々とひろがり続けている)

 

 

 

北の果てに漂う

氷のような青い空と

真珠色の大地

 

境界線は

 

胸を締めつけるほど  美しい

 

 

 

 

 

 

、いつまでもうずくまっていたい

 

 

 

雑踏のなか

人の気配と

めぐる季節

 


いつか砂になるあなた

 

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