2018-09-02から1日間の記事一覧

2109.08.23

故郷はいつだって美しい。 故郷。まぼろしのようなふた文字。 朝焼けのふとんの中で、まどろみながら聞くカラスの声。霧がかった、坂道だらけの街。青い郵便ポスト。揺れる金髪。かなしいぐらい広い空。片足を失くした猫の、日差しを受けたレモン色の瞳。ガ…

21.54

食事は、時おり正気を保つのがむずかしい。 皮を剥がれ、原型を失い、生き物のにおいを感じさせない、死体の盛り合わせ。食事。恐ろしいのに、なんてかぐわしい。 焼いて、蒸して、茹でて、ぐちゃぐちゃにして、死を食べてることなんて忘れて、「ブタさんも…

2017

あなたが聞き続ける音楽や、 着続ける服、使い続ける道具、 それらの中にわたしは、 わたしの知らないあなたを見つけます。 あなたは、けしてわたしを見ない。 だけどわたしは、その時その時の、 誰かや何かに夢中だったあなたの 表面を撫でるように、 残像…

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春しか愛せない。 通りすぎる風にばかり恋をする。 コンクリートは花が咲くので寂しい。 わたしには46億年の記憶。 何度繰り返しても、秋のにおいに泣いてしまう。 (音のくぐもる地下鉄は水槽のようでした)おぼれても、うつくしい。おぼれても青く揺れるばか…